北寺島町屋台

浜松凧揚祭研究会

2015年10月23日 02:17


2003年5月、naka2氏撮影。


 龍のような彫刻。


 迫力のある構図ですね。

 御簾脇(みすわき、正面左右の彫刻)と、上部の蟇股(かえるまた)というか揚虹梁(あげごうりょう)というか、3つ部位でひとつの「絵」を作っております。

 背景の雲の間に降り注ぐ稲光が、全体の迫力を演出してます。



 こりゃ八岐大蛇(ヤマタノオロチ)なのだそうです。



 だいぶ前に、

 「龍と大蛇(オロチ)とどう違うの?」

と、その筋の方にお伺いしたら、

 「彫刻としては同じだけどさ、題材とか周囲の描写によって見分けるの」

というのですね。

 で、よくみると、右下には剣を突き上げている勇ましい人物。


 左下には、ご婦人。


 日本神話の有名なシーン。

 須佐之男命(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)と対決しているところ。


 「大蛇退治(オロチたいじ)」ですね。


 つまり、左下のご婦人は、櫛名田姫(クシナダヒメ)。



 暴れてしょんない頭が八つある怪物(八岐大蛇)を鎮めるために、ムスメを生贄に差し出そうとしていたところ、訪ねてきたスサノオ君が、「オレが助けてやるからヨメになれ」だって。

 生贄にされるか、オレのヨメになるか。

 こりゃ究極の選択というか、非人道的な話ですが。(どっちもやだね。)


 スサノオ君は、酒の入った瓶(カメ)を八つ用意させて、大蛇の八つのアタマが酒をグビグビ。

 ぐでんぐでんになっていたところ、スサノオ君が剣でアタマを切り落として退治。
 めでたしめでたし。


 これならスサノオ君でなくても勝てそうな気もしますが。


 ところで。
 龍に見えても文脈で「オロチ」と理解するもの、というわけです。

 そこでよく見ると。

 左端に、二つ目のアタマが見えていました。


 あとの六つは、このシーンには収まりきらなかった、と考えましょう。


 私も知っていたくらいで、この「スサノオのオロチ退治」は日本神話の中でもメジャーなお話。

 いくつかの屋台に時折見かけます。


 ほかの屋台には、龍のアタマの近くに、瓶がいくつか描かれている、という構図の彫刻もありますね。

 それはまた別の機会に。


    (善)

 北寺島町屋台。
 1962年(昭和37年)。彫刻:早瀬利三郎、志村流張。


 

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