法被 戦前/戦後①
法被の図案を保存しよう、という活動を(とぎれとぎれで)続けております。
1990年代以降、法被の図案を改変する動きが盛んに。
それは、「浜松らしい」法被が、そうでなくなっていく過程でもありました。
「こりゃ残さにゃいかん」というのが動機。
いろいろの方にお願いして、法被をお借りする中で、戦前から残されている貴重なものと遭遇する機会もありました。
浜松は戦争で街そのものが焼かれています。
したがって、戦前のもの自体が大変貴重なのであります。
その戦前のものと戦後のものとを比較すると。
戦前から戦後への、図案の変化のパターンは、大きく分けて2つあることが判明。
1つは、同じ図案を踏襲しながらもちょいと型が変わっているもの。
もう1つは、図案をガラリと変えているもの。
共通しているのは、戦前のものの方が「手が込んでいる精緻な図案が多い」ということ。
これがイコール戦後のものは手抜き、ということではなく。
それはそれでスッキリした図案になっている、垢抜けした、という感じがするものが多いのですね。
まずは、鴨江町。
左が戦前。右が戦後。
こちらは「同じ図案を踏襲しながらもちょいと型が変わっている」グループ。
戦前の方が古い、のは当たり前ですが。
変体仮名の「か」の字の形が微妙に違いますね。
戦後版には「かすり」が入っています。
戦前版の方がもっちりした感じがします。
そして腰。
戦前版は「モ」が4つで菱形に。
戦後版は「モ」が1つで菱形に。
無理やり命名すると、「四つモの字菱」と「モの字菱」。
つぎに色。
地色。
戦前版は藍染。戦後版は硫化染料の黒。
腰の「モ」と「エ」の色。
戦前版にはネズ(鼠色)が入っておりますが、戦後版は白抜き。
つまり、戦前版は3色、戦後版は2色と、色数が違ってくるのであります。
さらに衿の文字。
左が戦前、右が戦後。
どちらも「かも連」。
その時の型屋さんなのか、型の文字を書いた人なのか。
どちらも「浜松の法被の衿に合う文字」だと思います。
※「か」は変体仮名。
字源は「可」。
「koin変体仮名」より作成。
なんとなく。
戦後の方がスッキリ落ち着いた感じ。
戦前の方が迫力ある感じ。
(善)
変体仮名も普通に変換されるようにならんでしょうか。
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