図案の法則 1凧印 (2)書体
久しぶりに図案の法則シリーズです。
連休があるとチョイと脳みそも休まります。
凧印の書体の話。
ちなみに、このブログでは、一貫して「凧印」(たこじるし)という言葉を用いて、凧揚祭の時に、浜松の各町内を示す固有の印のことを述べておりますが、われわれ、よく考えると、「凧のマーク」と言っていたように思いませんか。
「松江町の凧ってどんなマークだったっけ?」
「ともえだよ。マイナーですみません」
・・・などと。
で、その凧印に用いている書体の話。
基本的には文字の凧の場合、毛筆体が多いですね。
それも、太すぎず細すぎず、かすりが入る、そう言うヤツ。
つまり、こんなんです。
コチラは船越町。「船」。
写真は、文書サービス編『浜松凧あげまつり』(静岡出版、1984年)より。
この書体、独特であります。
パソコンのフォントにはありません。
つまり商品化された規格書体ではない、ということです。
例えばこちら。左から「千社文字」「AR勘亭流H体」「昭和ひげ文字体」。
いずれも、フォント等の用途向けに発売されているもの。
ちょっと詳しく申しますと、
「千社文字」は江戸の「籠字」などから作った文字、千社札などに用いられているものから作ったもの。
(大河原仁『実用ディスプレイ書体 千社文字』(マール社、1990年より)
「勘亭流」は、歌舞伎の演目や役者名などと書き表すための書体。芝居文字とか歌舞伎文字とかいうそうです。
「ひげ文字」は、酒瓶のラベルなどに用いられているものから、規格化したものと理解してます。
要するに、凧印用の規格の書体は無いわけで、その技術は凧屋さん3軒がまさに伝統的に受け継いできたもの。浜松のオリジナル書体なのであります。
(善)
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