遡(さかのぼ)ることが可能

カテゴリー │法被

だいぶご無沙汰をしております。



 今週は、遠州各地、秋のおまつりのピーク。

 大きなところでは掛川、ほか浜松近在では入野・蒲などなど。


 昨日は外食中に蒲神明宮の屋台(丸塚町)に遭遇しましたよ。



 祭とは、
 地域の青年集団によって担われている祭とは、昨日今日に始まったものではありませんね。


 「高度経済成長」という経済拡大。
 (1960年代)。

 この経済拡大に伴う、地域社会の大変動が発生する以前から。

 さらには戦前から。

 中断を経てもなお連綿と受け継がれているものがほとんどです。



 社会の基盤である経済のありようが変わっているわけですから。

 祭の基盤である「村落」や「町内」も大きく変わっております。


 農家が主流だった時代の農村の祭。

 商店主や職人が大多数だった時代の都市における町内の祭。

 そういう時代が50年前まではあったのですね。

 20年前までその名残はありました。


 社会のありようが大きく変わっている中で、それでもなお継続されている。

 という点で、地域の祭は「歴史的な行事」ということができます。

 逆に、歴史を無視しては、現代において祭を守り存続していくことは不可能です。




 そんなわけで、古くからの祭のアイテムが発見されると、「おおぉ~」と感嘆してしまいますね。

 とくに浜松の旧市街地は1945年(昭和20年)にひどい空爆・艦砲射撃を受けております。
 (受けた側は「空襲」と呼びます)。


 それだけに「戦前から伝わるもの」というだけで十分に貴重。




 久々の今回は、現代に残る戦前期の貴重な法被の写真であります。

鴨江町。

 大紋:変体仮名の「か」。


 腰:「モ」と「エ」

海老塚町

 大紋:海老
 腰:「A」

山下町

 大紋:「山」の字菱に「タ」
 総柄:三重立涌(たてわく)

平田町(四つ身)

 大紋:隅立檜扇
 腰:重ね田の字菱の連なり

新町(今回の新発見)

 大紋:石持ちに「だるま」
 腰:二重線に輪繋ぎ

 「だるま」の「だ」が変体仮名。


大工町

 大紋:「大」
 総柄:煉瓦格子

松江町

 大紋:違い松葉の丸に「松江」の細牡丹文字
 腰:変り菱格子に右三つ巴



 いずれも藍染。
 戦前にも既に硫化染料はあったのでしょうが、発見される法被はほぼ「藍染」ですね。

 なにも「江戸で染め」なくても、地元浜松で立派な藍染があったわけです。



 また、各町内には、どこかの世帯で、数着は戦前からの法被が残されているはずです。

 ぜひ大事に保管して欲しいと願います。


 「凧揚祭」において、戦前に遡ることが可能な町内は、限られておりますからね。




     (善)