凧の書体

カテゴリー │図案

さて、今回はビジュアルの話。

 凧印(たこじるし)で用いられる「字」の中で、毛筆体の字の話。

 凧印には大きく分けて絵のものと字のものがありますね。昔はよく「絵凧」「字凧」ということばも耳にしました。
 絵凧は砂山町のキツネとか千歳町の天狗とか馬込町の奴とか。
 字凧は種類が多く、漢字・平仮名・片仮名・変体仮名など。

 その「字」の中で、紺屋町の「コ」とか栄町の「サ」とか常盤町の「ト」とか・・・のように、デザイン化著しいものではなく、毛筆体をとどめているものの話です。浅田町の「あ」とか追分町の「追」とか・・・。


 毛筆体といっても、様々な書体がありますね。
 近年、法被などで大流行の江戸文字も毛筆体の一種。「江戸文字」と呼んでますが、規格化されているものは「千社文字」という名であり、そのもとになっているのは「籠文字」というものです。

 で、浜松の凧印で用いられているのは(つまりはすみたやさんや一瀬堂さんによって紡ぎ出されてきたもの)、これまた独特の書体で、他のシーンでは見たことがありません。

 籠字のように太すぎず、「かすり」が適度に入る場合が多いのが特徴でしょう。


 そんな書体を意識して作ってみたのがこの印です↓。「かすり」たっぷり入れてみました。(善)

凧の書体


タグ :書体浜松

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この記事へのコメント
斜めラインとかいかにも浜松の凧っぽいですね~
Posted by ab at 2011年07月11日 10:48
斜めのライン

 凧屋さんによると「タスキ」と呼んでいるそうです。

 斜めの骨は「スジカイ」(「筋交」「筋違」)と呼んでいるとのことでした。
Posted by 善 at 2011年07月11日 23:07
さきの『施主』とか『筋交い』とか、建築用語としてなんとなく理解していたものであるから、面白いですね。それらは職人用語なのか、それとも近世以降の日常言葉がそこにだけ残ったのか。
Posted by 千里 at 2011年07月12日 19:17
千里さん。コメントありがとうございます。

 建築でも、壁の強さを保つのに用いる斜め材は「筋交い」(すじかい)といいますね。その意味では、凧のスジカイも強さを保つための斜め材ですので、「筋交い」という言葉は建築に限らずそういう意味があるのでしょう。

 ただ、日本の伝統建築には斜めの材は基本的には無かったようで、「近世以降の」という時代の想定はしにくいのではないか、と思います。

 「施主」は文字の意味から解いてみると、「施す主」ですが。
 手元の辞典では、「葬式・法事・供養などの主人役=喪主」「寺や僧にお金や物を施す人」「家などの建て主」とあって、・・・表面的な意味しか載ってないんだよね。

 語源から探れば何か共通項があるかもしれません。

 ただ、法事にしても、慶事にしても、接待役であるという点では共通していますね。
Posted by 善 at 2011年07月13日 22:38
祭りごとの漢字といったら江戸文字という概念にとらわれていてそれ以外の書体について気に留めることもなかったのですが、研究会で変体仮名を含めて浜松の文字/書体について教わってからはむしろ江戸文字よりも浜松の文字の方が味があって良いように思えてきました。
ここ10年ぐらいでしょうか?凧印や組旗に毛筆体が増えていますがこれは浜松の文字とは違って習字の先生の書体となっていますよね。浜松独自の文字が書ける職人が減っていると聞いていますが残念この上ありません。
Posted by Y at 2011年07月14日 09:02
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